Special Interview & Event
食べ歩きの達人・マッキー牧元氏に訊く
今日からできる
食の楽しみ方
料理の歴史から食べ方の工夫、そして食を通して自分を育てる考え方まで——。
食べ歩きの達人・マッキー牧元氏に、毎日の食事がもっと愛おしくなるヒントをたっぷりと伺いました。
そして今回、この奥深い食の世界を実際に五感で味わっていただける、
当クラブとのスペシャルコラボイベントの開催が決定!
牧元氏の美味しい話とともに、普段は食べられない逸品を味わうスペシャルな機会をぜひお楽しみください。
マッキー牧元氏
スペシャルインタビュー
今日からできる、食の楽しみ方
「おいしく食べる」
私が考える「食を楽しむ」ということは、単においしいものを食べることではありません。食には長い歴史があり、今私たちが当たり前のように口にしている料理や食材も、すべてその積み重ねの上に存在しています。そうした背景を知ることで、料理への理解が深まり、味わい方そのものが豊かになるんです。
また、私は「おいしいものを食べる」よりも、「いかにものをおいしく食べるか」を大切にしています。同じお蕎麦やすき焼きでも、食べ方ひとつで味わいは大きく変わります。「こうやって食べると、こんなに違うんだ」そんな発見があると、料理や食べ物がもっと好きになる。まずはそこが食を楽しむ基本だと思っています。
食はもっと楽しくなる
食をもっと楽しむコツは、とてもシンプルです。それは「普段の食べ方を疑ってみること」。例えば、うな重。多くの方は当たり前のように山椒をかけますよね。でも、うなぎにかけるのか、ご飯にかけるのかで味は変わります。うなぎだけを食べるのか、ご飯と一緒に食べるのかでも違います。ちょっとした工夫だけで、同じ料理でも何通りもの味わい方が生まれるんです。もっと身近な例ならカレーライスです。いつもスプーンで食べている方は、一度フォークで食べてみてください。本当に驚くほど違った印象になります。
また、秋は食材が特においしい季節です。鍋に入れるえのきなら、フライパンで軽く乾煎りしてから鍋に入れてみてください。水分だけを飛ばすことで食感が驚くほど良くなり、旨味も凝縮されます。しゃぶしゃぶも同じです。私は「しゃぶしゃぶしないしゃぶしゃぶ」をおすすめしています。肉を何度も動かすのではなく、80度くらいのお湯に静かに入れ、そっと火を通す。そうすることで肉の旨味を逃さず、一番おいしい状態で味わうことができます。こうした小さな工夫の積み重ねが、食を何倍も面白くしてくれるんです。
私にとって食べることは、「自分を変化させ、自分を育てること」です。例えば、とてもおいしいオムライスを食べたとします。そのとき私は「おいしかった」で終わりません。なぜおいしかったのか。玉子の食感なのか。チキンライスの味付けなのか。温度なのか。それとも全体のバランスなのか。そうやって違いを探し続けます。実はこれは食べ物だけの話ではありません。映画や絵画、景色でも同じです。何かに感動したとき、「なぜ感動したのか」と考えることが、自分自身を成長させてくれます。違いを見つけると、「なぜだろう」という問いが生まれます。そして、その問いこそが人を成長させる原動力になる。だから私は、食べながら自分自身に問い続けることを大切にしています。
今回のイベントでは、<蕎麦おさめ>では蕎麦の歴史や蕎麦前について、<人形町今半>では日本人の肉食文化やすき焼きの魅力についてお話しする予定です。さらに当日は、普段お店では味わえないスペシャルメニューもご用意しています。こだわりや工夫が詰まった、このイベントだけの特別な逸品をぜひ堪能していただきたいですね。もちろん、食べ方に正解はありません。大切なのは、まず知ること。そして試してみることです。ぜひ皆さんにも、自分なりの「一番おいしい食べ方」を見つけていただきたいですね。まずは手始めに、カレーをフォークで食べてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
スペシャルイベント
※料理画像はすべてイメージです
プロフィール
マッキー牧元
MACKEY MAKIMOTO
1955年東京都生まれ。立教大学卒業。レコード会社勤務時代、社外向け広報誌で異業種へのインタビュー企画を担当し、料理評論家・山本益博氏との出会いをきっかけに食の世界へ足を踏み入れた。『山本益博の東京食べる地図』の取材・執筆に参加したことを機に、レストラン取材や食の執筆活動を本格化。2012年に独立後は食の仕事に専念。現在は(株)味の手帖取締役編集顧問、タベアルキスト、食ジャーナリストとして、年間約600食を食べ歩きながら、雑誌、Web、ラジオ、テレビなど多彩なメディアで食の魅力を発信している。

